2026年9月1日
【技術コラム】ゴム硬度60°なら全部同じ?硬度だけで材料を選べない理由

硬度だけでゴム材料を選べない理由
ゴム製品の図面や仕様書では、
「ゴム硬度60°」
と指定されていることがあります。
しかし、同じ「硬度60°」であっても、すべてのゴム材料が同じ性能を持っているわけではありません。
NBR、EPDM、CR、FKM、シリコーンゴムなど、材質が違えば耐油性・耐熱性・耐候性などの特性は大きく異なります。
さらに、同じ材質・同じ硬度であっても、配合が変われば性能や成形特性が異なる場合があります。
今回は、ゴム材料を選定する際に知っておきたい「硬度」についてご紹介します。
ゴム硬度60°は「硬さ」を表す一つの指標
ゴムの硬度は、製品を押したときの変形しにくさを表す指標の一つです。
一般的な工業用ゴムでは、JIS AやデュロメータAなどによる硬度が使用され、「60」「70」といった数値で表現されます。
数値が小さいほど柔らかく、数値が大きくなるほど硬くなります。
ただし、硬度が同じだからといって、
耐熱性・耐油性・耐候性・耐薬品性・耐久性まで同じという意味ではありません。
同じ硬度60°でも材質によって性能は違います
例えば、すべて硬度60°程度の材料であっても、材質によって得意な使用環境は異なります。
| 材質 | 主な特徴 |
|---|---|
| NBR | 耐油性に優れ、油に接触する部品などに使用 |
| EPDM | 耐候性・耐オゾン性・耐水性に優れる |
| CR | 耐候性・耐油性などのバランスが良い |
| FKM | 耐熱性・耐油性・耐薬品性に優れる |
| シリコーンゴム | 耐熱・耐寒性に優れ、幅広い温度域で使用可能 |
つまり、
「今使っているゴムが60°だから、新しい材料も60°なら問題ない」
とは限りません。
製品の使用環境や要求性能を確認したうえで、材質を選定する必要があります。

同じ材質・同じ硬度でも違いがあります
ここがゴム材料の少し難しいところです。
例えば、同じ「EPDM・硬度60°」という材料でも、メーカーや配合によって、
- 引張強さ
- 伸び
- 圧縮永久ひずみ
- 耐熱性
- 流動性
- 収縮率
- 成形性
などが異なる場合があります。
そのため、単純に材質名と硬度だけを合わせても、現在使用している製品と全く同じものになるとは限りません。
材料を変更すると製品寸法が変わることも
これは昨日ご紹介したゴム製品の寸法公差にも関係します。
ゴム材料は配合によって収縮率が異なるため、同じ金型を使用して材料だけを変更した場合でも、成形後の製品寸法が変化する可能性があります。
例えば、
現在の材料 → EPDM60°
変更材料 → 別配合のEPDM60°
というケースでも、収縮率が異なれば製品寸法に差が生じます。
そのため材料変更時には、硬度だけではなく、実際に試作成形を行い、
- 寸法
- 外観
- バリ
- 離型性
- 硬度
- 成形性
などを確認することが重要です。
「今と同じ硬度」で材料を選ぶだけでは不十分です
材料変更のご相談では、
「今と同じ60°でお願いします」
というご要望をいただくことがあります。
もちろん硬度は重要な条件ですが、それだけでは材料を決めることはできません。
例えば、
- 何に接触する製品なのか
- 使用温度は何℃なのか
- 屋外で使用するのか
- 油や薬品に触れるのか
- シール性が必要なのか
- どの程度の耐久性が必要なのか
などによって、適したゴム材料は変わります。
硬度は材料選定の条件の一つ。
そのうえで、使用環境や要求性能を確認することが重要です。

材質が分からなくても、まずはご相談ください
根来工業では、NBR・EPDM・CR・FKM・シリコーンゴムなど、さまざまなゴム材料の成形に対応しています。
「どの材質を選べばよいか分からない」
「現行品と同じようなゴムを作りたい」
「硬度だけしか分からない」
「材料を変更して品質を改善したい」
「既存金型を使って別材料を試したい」
といったご相談でも構いません。
図面や仕様がすべて決まっていない段階でも、製品の用途や使用環境、求められる性能を確認しながら対応方法を検討します。
ゴム材料の選定・材料変更・試作・量産まで、ゴム製品に関するお困りごとがございましたら、お気軽に有限会社根来工業へご相談ください。
カテゴリー: ゴムの知識



